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(注1)盲目の泉によく来るペレアス
盲目の泉は王城の外苑(王城の外にある付属の庭園)にあるので、ペレアスの話の通り一般国民も訪れることが出来る。
そこへよく行くということは、ペレアスがこの泉や「水」に対してなじみが深いということ、更に(同じく「水」となじみが深い)メリザンドと相思相愛の仲になることすら暗示していると考えられる。
また、違った見方をすれば、彼がゴローと違って、王族の執務にあまり携わっていないが故に、あまり政治的に抑制されず(ある種過保護的)に育てられていることも示されていると考えられる。
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(注2)力を失った盲目の泉の「水」
この内容から、この国にある「水」の持つ力が失われたこと、強いては、この国自体の「霊性」(目には見えない霊的な国力、勢い)すら失われつつあることも暗示されている。
(これは第3幕第3場でも暗示されている。)
ちなみに、特別な泉の「水」に病人をいやす、ある種の神通力があるというのは、世界各国によくある話である。
確かに「水」は人間が通常生きていく上で欠かせないものであるのはもちろんのこと、生まれる前ですら、人間は受精卵から出生するまで、母親の子宮にある羊「水」の中で発育することとなるので、まさに「水」は人に「生命」を与えるものである。
これに何らかの「力」を感じるというのは、人間の本能と言ってもよいだろう。
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(注3)泉に興味を持つメリザンド
この様子からもメリザンドが「水」に深い関わりを持つことが分かる。
また、このあと背の丈よりも長いメリザンドの髪の毛が水の中に垂れたことは、第3幕第2場の有名な「髪の場」への伏線となっている。
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(注4)メリザンドが泉で発見されたことを言い当てるペレアス
ペレアスにも、メリザンドと「水」の深い関わりが分かったというシーンである・・・と思われがちだが、実はこの辺のことは全てゴローが第1幕第4場でペレアスによこした手紙の内容に全て書かれていたことである。
つまり、ペレアスはわざと言い当てるふりをしたか、もしくは手紙の内容をロクに読んでなかった・・・だけなのである。
(これまでの話の筋から後者である可能性が高い。)
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(注5)メリザンドの被害妄想?
ゴローとメリザンドが出会った第1幕第2場では、キスしようとしたシーンは全くない。
メリザンドのゴローに関する記憶はなぜか全て曖昧で、中には意図的に嘘をついているとしか思えないようなものまである。
その代表格がこの部分である。
この部分の台詞を聞いたペレアスはなぜ嫌がったのかを聞いたのだが(普通誰でも初対面の人間がいきなりキスしようとしたら嫌がると思うのだが・・・)、「水の中を何かが通った」と言って、彼女は話を別の方向へはぐらかしてしまう。
ここでもメリザンドは事の本質を語ろうとしない。
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(注6)ゴローの指輪を弄ぶメリザンド
メリザンドの無邪気かつ不可解な行動を示す部分の一つで、普通愛する人からもらった大切な結婚指輪を上に投げて弄ぶようなことはしないはずである。
しかも、その場所は落としたら一巻の終わりだと分かり切った、底なしの泉の真上である。
このシーンからメリザンドが結婚やその証である結婚指輪に対して、あまり重要なイメージを持ち合わせていない(理解していない)ことが分かる。
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(注7)「ありのままを話せ」と言ったが・・・
第2場でメリザンドはゴローに「海辺の洞窟で落とした」とデタラメを言ってしまう。(注14参照)
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(注8)指輪が落ちると同時に落馬したゴロー
悪い出来事を予見させるには、出来過ぎとも思えるシチュエーションであるが、日本のドラマでも結構見られるありがちな設定である。
(下駄の鼻緒や靴の紐が切れるとか、額にかけていた不幸に合う人の写真が落ちたりガラスにひびが入ったりするなど。)
この時はもちろん、大切な結婚指輪の片方が落ちたことを暗示している。
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(注9)「刃と血に育てられた」ゴロー
ここで初めてゴローは自分の育ちについて自ら語る。
おそらく、ゴローはその屈強な肉体で各地の戦場を駆けめぐり、他国を侵略、あるいはアルモンドを敵の襲撃から守ってきたのだろう。
彼は王族であるから、アルモンド国では将軍または総司令官クラスの国軍の要職であったに違いない。
そこで、累々たる敵味方の戦死者の群れを目にし、自ら敵兵を殺し、自らも戦場で傷つくなど、数々の修羅場を経験してきたゴローだからこそ言える台詞であろう。
一見不器用かつ粗暴で暴君的イメージを持たれるゴローではあるが、彼はむしろ「父親」として、これまでまさに「自分の息子(イニョルド)のため」「アルモンド国のため」に死力を尽くして戦っていたのであり、王城の中の「温室育ち」で、ある種自己中心的なペレアスとは全くの対象である。
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(注10)メリザンドの「不幸」?
ここで初めてメリザンドはゴローに自分が幸せでないことを告白する。
ただ、この台詞も、後の第4幕第2場でアルケル王に言う台詞(「私は不幸せと思ったことはない」)とは完全に矛盾しており、原因がはっきりしないことと相俟って、いったいどちらが本当なのか分からなくなっている。
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(注11)逆らえない運命を暗示する台詞
まさにこの戯曲のテーマの一つ「(逆らうことの出来ない)運命」を指している台詞である。
メリザンドは何となくこの戯曲の悲劇的結末を予知していたのだろうか?
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(注12)ゴローのペレアス観
おそらく、ゴローは泉でペレアスとメリザンドが会っていた件を知らないと思われる。
(だからこの後のメリザンドの嘘が通じた。)
ゴローは少なくともこの時は、ペレアスのことを親友の下にも行けないナーバスで自閉症気味の哀れな弟としか見てなかったのだろう。
いずれにしても、ペレアスのことを本当の弟と同じぐらいに(またはそれ以上愛おしく)見ていたのは事実であろう。
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(注13)「運命」の受容を暗示する台詞?
この台詞は「運命には逆らわない」と言ったアルケル王と同じ思想の台詞であるように思える。
やはり、アルケル王の孫である。
ただ、彼の台詞は(何でもそうだが)結構口だけで行動が相反しているところがある。
この後に出てくるメリザンドへ指輪探しを命じたところもそうであるし、「ペレアスとメリザンドが相思相愛」という事実を受け入れることが出来ず、ペレアスを刺し殺してしまうところにも、その性質が現れている。
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(注14)メリザンドの嘘
これもメリザンドの不可解な言動の一つで、無邪気に弄んで落としたくせに、ゴローに露見した時にはその事の重要性を理解して嘘をついてしまうなど、変に理知的な部分と無邪気な部分が合わさった言動の不一致が随所に見られる。
とにかく、この時まともにありのままを話していたら、ゴローはもっと激怒していたに違いないし、ペレアスに対しても何らかの咎めはあっただろうから、メリザンドのこの時の判断は正しかったのかもしれない。
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(注15)ゴローの二面性
先ほどまでメリザンドのことを気遣っていたにも関わらず、指輪がなくなった途端、夜中で危険な海辺まで探しに行かせるというところに、ゴローの二面性を伺わせる。
確かに通常でも結婚指輪は重大な価値を持っているものであるし、ましてや王族の結婚指輪となれば、(ゴローの口から詳しくは語られないが)その価値はなおさらに重いものであろう。
とは言え、メリザンド本人の事を考えると、あまりに惨い仕打ちであるには変わりはない。メリザンドでなくとも泣きたくなるであろう。
ただ、(夫としての)優しさの片鱗を持っておきながら、(王族としての)プライドが高いが故にそれが徹底できないゴローの苦悩も察することも出来る。
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(注16)3人の年老いた乞食が意味するもの
おそらく、国を統べるべき王族が一番目にしたくないもの・・・すなわち、国の衰退していく姿そのものであろう。
(こうしたアルモンド国の衰退を暗示する事件や物は戯曲の随所に現れる。)
ペレアスとメリザンドは彼らの姿に恐れを抱くが、後に(第4幕第2場で)同じ光景を目の当たりにしたゴローにとっては、単にうっとおしいものとしか写らなかったようである。
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(注17)言い訳のため
とりあえず、(見つからないのは当然であるが)「探しに行った」という証拠を示すためであろう。
ゴローもそれで納得したのだろうか、以後指輪の話は一切しなくなるのだが、それでは、そこまでゴローを激高させた指輪の価値とは、結局何だったのだろうか?
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(注18)オペラで省略されている場
省略の理由としては、第1幕第1場と同様に、ストーリーの進行に直接影響を与えていないためであろう。
しかし、アルケル王の必死な思いや全体に流れる「運命」を感じる上で、知っておくべきシーンであろう。
その中でも、ペレアスが(親友マルセリュスが死んで)旅立つ理由もないのに、旅立とうするところに、彼が感じつつあった「運命の罠」を予感させているのは、この場の解釈において重要な部分であろう。
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(注19)危険なアルモンド国領内
アルケルがペレアスを引き留めるために、いささかオーバーに言っているところがあるにせよ、この国が依然危険な状態にあるのは確かなようである。
確かに、国内の飢饉に不平を持つ領民、そして隙あらば侵略しようとする他国の存在・・・内患外憂とはまさにこのことだろう。
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(注20)アルケル王が示す「その時」
こう言っておきながら結局示されない。
確かに「運命の裏側しか見えない」彼のことであるから仕方ないのだろうが、結局こうやって引き留められたせいで、ペレアスは「運命」の罠に嵌っていくこととなる。
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(注21)ここでも・・・
「運命には逆らわない」という、アルケルの哲学が示されている。
ゴローはこの寛大な哲学によって結婚できたが、ペレアスは「運命」に気付かぬ(または気付きつつも抵抗しなかった)無邪気さ故に身を滅ぼすこととなる。
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