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チェレスタとは?
(プッチーニ・オペラとチェレスタ)

<チェレスタの一例>
第34回定期演奏会ギャラリー(写真集)より
(写真のチェレスタによる演奏例:MP3形式)
チェレスタ(celesta)とは、上の写真のように一見小さなアップライト型ピアノ(又はよく小学校の教室で見られるリードオルガン)のような外見ですが、実はピアノのように鍵盤でならす鉄琴(打楽器)の一種なのです。
その音は”ばち”で叩いてならす普通の鉄琴に比べますと、軽くて柔らかい、上品な響きがするため、19世紀末以降いろいろな管弦楽曲で静かに煌めくような彩りを添えるための楽器として多用されております。
<チェレスタの特徴>
チェレスタの音の鳴る原理はピアノと同じで、鍵盤を押さえると楽器内のハンマーが動いて鉄琴を叩き、音が鳴るというものです。つまり、(かなり)簡単に言いますと、音を鳴らすものがピアノ線か鉄琴かの違いなのです。
しかし、その鍵盤を叩く感覚はピアノのそれとかなり異なっており、(内部構造上の問題と思われますが)音がピアノに比べて若干鈍く出るような感じがするのと、出せる音の強弱の範囲(専門用語でダイナミクスと言います)がかなり狭くなっているので、思いっきり鍵盤を叩いてもピアノほどに叩く力に対する音量差が出ません。
ちなみにいつも当団でチェレスタを弾いてもらっている方に、ピアノと比べて感じたことを聞きますと、(1)初めてチェレスタを見たときに、「えっ・・・
真ん中の”ド”ってどこ?」と思ってしまった(笑)。(2)鍵盤をかなり強めに叩かないと思った音量の音が出ない。(3)音の出方が鈍く思える。というコメントを頂きました。
まあ、ピアノと比べて「神秘的で上品だけどドラマ性に欠ける」と、言ったところでしょうか・・・(^^;)
<チェレスタとオーケストラ>
チェレスタが管弦楽史上初めて登場したのは、1892年に上演されたチャイコフスキー作曲の超メジャーなバレエ「くるみ割り人形」でした。
当時「くるみ割り人形」を作曲していたチャイコフスキーは、その中にある「金平糖の精の踊り」と言う踊りの曲でメロディーを奏でる楽器に苦慮しましていました。この曲で踊る「金平糖の精」は、広いホールの中、冷たい輝きの中で、ゆっくりと静かに踊るのですが、その感じにマッチした楽器がなかなか見つからなかったのです。
そして、そんな中でチャイコフスキーはフランスでチェレスタの音に触れ、一発でこの楽器に決めてしまったそうです。
ちなみに、この「くるみ割り人形」で管弦楽曲にデビューした楽器には、チェレスタのほかバス・クラリネット(低音域を鳴らすクラリネットの一種で、オペラ「トスカ」にも登場します)があります。
その後、20世紀に入って、チェレスタは交響曲にも登場し、マーラーやショスタコーヴィッチなど多くの作曲家が積極的に使ってきました。
現代曲においても(もちろんティンパニや大太鼓ほどではありませんが)汎用される打楽器の一つとなっています。
<プッチーニ・オペラとチェレスタ>
オペラ「トスカ」では主として(1)第1幕中盤のトスカの歌「二人の愛の家で」でトスカが可愛く”うきうき”するような感じを出すために、(2)第3幕序盤のローマ上空で星が静かに”煌めいて”いる感じを出すためにチェレスタを使っています。
(ほかにもごく一部使っている箇所はありますが、1音や1小節のみの部分ばかりです。)
つまり、(1)は「心情的」、(2)は「視覚的」な”煌めき”を表現するために使っていると思われます。しかし、(1)はトスカの歌と同じ旋律、(2)は管楽器や弦楽器と同じ旋律を弾いているため、どちらもあまり表には出ていません。
このように、プッチーニはチェレスタを「トスカ」だけでなく他のオペラで使ってはいても、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」ほど表に出すことはなく、専ら他の楽器や声の(ちょうど「隠し味」のような)補助的な役割にしか用いることはありませんでした。
余談ですが、「トスカ」から約20年後に作曲されたプッチーニ最後のオペラ「トゥーランドット」では、チェレスタの演奏音域が格段に広がっており(5オクターブ以上)、記譜もピアノと同じト音記号、ヘ音記号の二段五線になっています。おそらく、(トゥーランドットが作曲された)1920年代にはチェレスタはかなり改良されていたのでしょう。
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